「確かなイタリアンの中に隠した、ほんの少しの和の要素が、“本能的に”美味しいと感じられるヒミツです」
「リストランテ ラ・ルーチェ」料理長 筒井崇海
建設会社の「奥村組」が、社会インフラを担う企業の新たな役割として、水産資源不足という社会課題の解決に着手。建設事業で培った高度な水浄化技術を活用し、循環式陸上養殖によって開発したのが「太平のとらふぐ」です。創業者・奥村太平から脈々と続く「誠実」の精神を引き継ぎ、安心安全な水産物を提供します。この「太平のとらふぐ」を使用した「生ハム〆コンフィ」「焦がしにんにく香るアラビアータ」を開発した、ひらまつのイタリアンレストラン「リストランテ ラ・ルーチェ」の料理長・筒井 崇海(つつい たかうみ)シェフに開発秘話をうかがいました。
――まずは初めて「太平のとらふぐ」を召し上がった時の感想を聞かせてください。
ふぐは上品な旨みや甘みといった味わいも魅力ですが、弾力がある独特の食感も醍醐味の一つだと思っています。処理や保存方法によっては、天然物でも水っぽかったり軟らかかったりすることも少なくない中、ふぐらしい、よい噛みごたえが楽しめたことが印象的でした。
――今回、「生ハム〆コンフィ」と「焦がしにんにくのアラビアータ」に仕立てられたのはどのような理由からでしょうか?
「太平のとらふぐ」をより美味しく楽しんでもらえるような加工調理品と考えた時、淡泊になりがちなふぐの味わいをグッと持ち上げながら、「ひらまつ」が手がけるイタリアンらしさが表現できる一品をつくりたいなと思いました。
「生ハム〆コンフィ」は、和食の昆布締めから想を得て今回初めてチャレンジした手法です。昆布と同じくほどよい塩味と豊富な旨み成分を持つ生ハムで締めることで、ふぐの身から余分な水分が抜け、さらに互いの旨み成分による相乗効果でより奥深い味わいに。オレガノとローズマリーでイタリアンらしい爽やかな香りをまとわせてコンフィに仕上げています。
一方、「焦がしにんにくのアラビアータ」は、「ひらまつ」を代表するイタリアンレストラン「リストランテASO」(代官山)で伝統的に受け継がれているパスタソースです。ガーリックの香りが効いた、ひらまつならではの自慢の味。その味をご家庭にも届けられたらと、商品化に挑みました。
――特にこだわったのはどのような点ですか?
私は普段、“京都”という地でお客様をおもてなししていることを意識しながら、料理を考えています。「リストランテ ラ・ルーチェ」は、京町家をリノベーションした和の趣を感じさせる空間で、イタリア料理をご提供していますし、けっして前面には出しませんが、随所に和の食材や調味料を使ったり、日本料理の技法を取り入れたりすることで、本能的に日本の美味しさを感じていただけたらというのが、私の想いです。
今回、「生ハム〆コンフィ」には日本料理の技法の一つ「醤油洗い」の工程を挟みました。一般的には青魚の臭み消しのために用いられる手法で、魚の身をサッと醤油にくぐらせて拭き取るというもの。漬けのように強い味がつくわけではないのですが、この一手間があるかないかで風味が増し、身の質感もよくなります。
ハーブ香る生ハム〆のふぐという、贅沢なイタリア料理を食べているはずなのに、どこかスッと身体に馴染むような感覚を味わっていただけると嬉しいですね。完成品が常温保存品という制限があったので、いろいろとレシピや使う素材の改良に迫られ苦労した点も多くありましたが、この工程だけは最後まで譲ることなく組み込むことができました。「細かい理由はわからないけど、なんかすごく美味しい!」が最高の褒め言葉です(笑)。
―― おすすめの食べ方やペアリングはありますか?
意外かもしれませんが、醤油洗いを施したことで、不思議と和の素材とも調和するはずです。白ワインは言わずもがな、日本酒やビールのアテとしても楽しんでいただけると思います。
―― 一方、「焦がしにんにくのアラビアータ」は、筒井シェフご自身も思い入れがあるパスタだとうかがいました。
はい。私が「ひらまつ」に入社してまもなく、尊敬する師匠から直々に教わったパスタソースです。私だけでなく、「リストランテASO」でパスタを担当したことがある料理人であれば誰もが必ずつくれる、ひらまつのイタリアンを代表する一品といえるでしょう。
一般的にアラビアータは、トマトソースに辛みを足してアレンジしたものと思われがちですが、けっしてそうではなく、「アラビアータ」という一つの完成された料理であるというのが師匠の教えでした。そのことを私たち一人一人の料理人が脈々と受け継いでいます。
つくり方も使用する素材も非常にシンプルではあるものの、焦がしたガーリックから生まれる奥深い香りが何よりの特徴。ただ、単純にこのソースにふぐの身を混ぜ込んでしまうと、ふぐが持つ繊細な旨みが消え、また温めた時に硬くなってしまうという懸念がありました。そこで今回は、ふぐの身は別添えに。
フライパンでソースとパスタを絡めた後に、ソースの予熱でふぐの身に火を通すという一手間をお願いすることになりますが、「太平のとらふぐ」と自慢のアラビアータ、どちらも最大限に楽しんでいただける仕上がりになったと思います。
―― ふぐと「ひらまつ」伝統の味のコラボレーションが自宅でいただけるなんて、夢のようです!
そうですね。パスタソースとしては少し贅沢な価格帯にはなりますが、ぜひ、記念日やちょっとした特別なシーンに、美味しいお酒を準備して楽しんでいただけると嬉しいです。
――最後に、未来の水産資源について今回、これらの商品に込めたメッセージを教えてください。
今、日本の養殖技術は大きく進化しました。特に安定供給や産業・環境の両面で持続可能であること、また徹底管理された飼育環境による安心安全といった観点から、より養殖の需要は高まっていくでしょう。美味しさだけでなく、未来の社会づくりのために養殖の魚という選択をするお客様に、この商品が届けばいいなと思っています。
「太平のとらふぐ 生ハム〆コンフィ」
内容 :約120g
価格 :1,980円(税込)
商品ページへ
「太平のとらふぐを和える 焦がしにんにく香るアラビアータ」
内容 :2人前(とらふぐ刺身30g×2、アラビアータソース 160g×2)
価格 :3,600円(税込)
商品ページへ
リストランテ ラ・ルーチェ
住所 | 京都府京都市中京区室町通三条上る 役行者町361 |
TEL | 075-211-1751 |
アクセス | 京都市市営地下鉄 烏丸御池駅より徒歩約3分 |
営業時間 |
17:30~21:00(L.O.19:00) |
定休日 | 不定休 |
支払い | クレジットカード可(JCB、AMEX、VISA、MASTER、Diners) |
HP | https://www.hiramatsurestaurant.jp/la-luce/ |
写真・東谷 幸一 文・山本 愛理