安全なものは「おいしい」。子どもたちにこそ安全な食材を
関西電力の子会社「海幸ゆきのや合同会社」が生産するバナメイエビのブランド「幸えび」。バナメイエビは国内ではほぼ輸入品という中、国産で陸上養殖される珍しいえびです。最先端の設備で、薬品や抗生物質などを一切使わない安全な環境で育てられるなど、かつてないほどのクオリティに仕上がっています。この「幸えび」のおいしい食べ方を、クラフトフィッシュのスターシェフの一人、(社)MIIKU日本味育協会の代表理事・宮川順子先生に伺いました。
宮川順子先生は、「親御さんたちには、ぜひ安全な食材を子どもたちに食べさせてあげてほしい」と、語りかけます。長男が、食品に含まれる化学物質などによる重度のアレルギー体質だったことをきっかけに、調味料からスナック菓子まであらゆるものを手作りしたことをきっかけに、料理家となった宮川先生。現在は、味覚を育てる「味育」をとおして、子どもたちの心と体の健康を守るための食の安全を推進する、(社)MIIKU日本味育協会の代表理事を務めています。
私たちの身体は“いま、私たちが食べたもの”でしか作られません。そして、それはいずれ、その身体から生まれてくる子どもたちの身体にも受け継がれていきます。宮川先生の長男が生まれたばかりの約30年前はまだ、アレルギーという言葉すら一般的でなかった時代。手探り状態でさまざまな食関連のセミナーや講演会に参加し、少しずつ専門的な知識を得る中で、食の安全に関わる問題を目の当たりにしたそう。若い頃の自身の食生活が、長男のアレルギーの要因の一つかもしれないという事実を知った時には、絶望したと語ります。
現在は、食品表示や薬事法などが整い、「有機」「サステナブル」という概念も徐々に浸透してきました。それでも見えないところには、まだ危険は潜んでいます。魚の養殖に化学薬品や不明瞭な餌が使われることも多く、海水自体の水質が汚染されつつあるために、天然の海産物もけっして安全とは言い切れないのが現実です。
「幸えびは、薬品や抗生物質などが一切使われていないので、真水で洗うだけで生で食べられてしまうくらい、安心・安全なところがすごいですね。同じ養殖でも、清掃が行き届いていない環境で育ったものや薬品が使われているものは、泥臭さや抗生物質の匂いがひどく、片栗粉と塩で何度ももみ洗いしなければ食べられたものではありません。もちろん生食なんてもってのほか。変な臭みや汚れがないということは、『おいしい』ということです。『市販のものは危険だからすべてダメ!』と頭ごなしに言うつもりはありません。でも食べてみればわかります。安全なものはおいしい。親御さんにはぜひ、子どもたちにそういうものを食べてさせて、安全なもののおいしさを教えてあげていただきたいですね」
幸えびだからできる、“洗うだけ”調理 「幸えびのみどり酢」
そんな宮川先生が今回考えてくれた幸えびのレシピは、簡単に作れて、子どもでも食べられる一品。幸えびの安全性やおいしさを活かした、幸えびならではの「幸えびのみどり酢」です。すりおろしたきゅうりと合わせ酢を混ぜ合わせたものに、生の幸えびを和えるだけの簡単レシピです。
材料
幸えび | 1パック |
きゅうり | 1本 |
しょうが(みじん切り) | 1片 |
塩 | ひとつまみ |
酢 | 小さじ1/2 |
うす口しょうゆ | 小さじ1 |
作り方
1. 幸えびを真水で洗う
幸えびは真水でさっと洗います。泥汚れや薬品の臭みがないので、塩水やお酒、片栗粉などでもみ洗いする必要はありません。
2. 殻をむき、食べやすい大きさに切る
洗った幸えびは、頭と殻を取り除きます。頭と胴の付け根の部分を軽く両手で押さえ、少しひねりながら引っ張ると、簡単に頭が取れ、同時に背わたも取れます。殻をむいたえびは、食べやすい大きさに切っておきます。
「取った頭と殻は、炒って冷凍しておくと便利です。砕いて煮出すといい出汁が取れます。抗生物質が使われているえびは頭や殻も臭みがありますが、幸えびはとても澄んだ出汁が取れるので、パエリアやフォーのスープにおすすめ。頭も殻も無駄なく安心して使えるのも、幸えびならではです」(宮川先生)
3. みどり酢を作る
きゅうりをすりおろし、軽く水気を切ります。1本すべてすってしまってもよいですが、端を3cmほど残し、残した部分を3mm角程度のサイコロ切りにして混ぜ込むと、シャキッとした食感が加わって美味です。きゅうり、しょうが、塩、酢、うす口しょうゆを混ぜ合わせます。
4. えびとみどり酢を和える
えびと4のみどり酢を和えて完成です。お好みで大葉を添えたり、しょうがをトッピングしたりすれば見栄えもよくなります。
出来上がり!
真水で洗っただけなのに臭みは一切なく、爽やかなしょうがの香りときゅうりの青々しさが、幸えびの甘みを引き立てます。幸えびのほどよい弾力の中で、ところどころに現れる角切りきゅうりのシャキッとした食感がアクセントに。みどり酢には、からしやごまを加えることもありますが、幸えびの豊かな甘みを楽しむにはシンプルなものがおすすめとのこと。
「つるりとした舌触りも幸えびのいいところ。なめろうのように叩いたおくらと一緒に和えても美味しいと思います」と、宮川先生。10分足らずで作れるお手軽レシピです。ぜひお試しあれ。
写真・広瀬美佳 文・山本愛理
PROFILE
宮川 順子
Junko Miyagawa
(社)MIIKU日本味育協会 代表理事、(株)ユーキャン 主任講座講師(調理師、食育実践 プランナー、介護食、幼児食)、料理教室「宮川順子のおいしさ学キッチン」主宰
長男の食物アレルギーをきっかけに、家庭での手作り料理に専念。安心安全で健康を守る食を広めるために社団法人MIIKU日本味育協会を設立し、「おいしい」や「健康」にまつわるセミナーや、プロ・アマを問わない調理技術講座で講師を務めるほか、資格試験講座のテキスト執筆、社員研修、商品開発、食による地域活性なども手掛けている。
料理教室「宮川順子のおいしさ学キッチン」
HP :https://e-miyagawa.jp
(社)MIIKU日本味育協会
HP :http://miiku.jp