播州赤穂・坂越湾の恵みと最新技術が生んだ、鮮度抜群の大粒牡蠣
「サムライオイスター」は、塩の産地として知られる兵庫県赤穂市に面した坂越湾(さこしわん)で育てられるブランド牡蠣。良質なプランクトンに恵まれ、通常は2年かけて成長する牡蠣が1年で育つことから、坂越湾で獲れる牡蠣は「一年牡蠣」とも呼ばれています。身が大きく弾力があり、熱を加えても縮みにくく、風味・栄養も豊か。この「サムライオイスター」の美味しい食べ方を、クラフトフィッシュのスターシェフの一人、日本料理家・藤田貴子(ふじた たかこ)先生に伺いました。
食材そのものの持ち味を活かし、できるだけシンプルに調理・調味することモットーに、長く日本料理と向き合ってきた日本料理家・藤田貴子先生。東京・南麻布で「日本料理教室 藤田」(2022年に軽井沢に移転オープン予定)を主宰する一方で、数々の料理番組や料理誌などのメディアでも活躍。これまで養殖魚に対しては「水っぽい」「餌の臭いがする」などのマイナスイメージがなかなか拭えず、ほぼ天然の魚を使ってきたといいます。
そんな藤田先生に「シンプルに、そのままで食べるのが一番美味しい」とまで言わしめたのが「サムライオイスター」です。「まず、殻付きのまま冷凍されて届くことに驚きました。実際に殻を開けてみると身が厚く、加熱しても縮まない。プリッとした弾力も、臭みがない濃厚なコクも申し分ありませんでした」。
サムライオイスターが育つ坂越湾は、良質な植物性プランクトンに恵まれた、牡蠣の成長には絶好の環境です。一般的に牡蠣の養殖には2年がかかるといわれる中、サムライオイスターは、春に種付をしてその年の10月には収穫ができるほど。水揚げ後1時間以内に養殖場から加工場へ移し、最新のプロトン凍結機で急速冷凍することで鮮度を維持。サムライオイスターの美味しさの秘密は、坂越湾の恵みと最新技術にあります。
レシピ考案にあたって、柚子味噌を載せる、アヒージョにするなど、さまざまなレシピを考えたという藤田先生。しかし、まずはそのままの美味しさを味わってほしいと話します。「料理の基本は素材選びから。よい素材を使えば難しい調理は要りません。ぜひ素材本来の美味しさを知り、日本の食材の豊かさや日本料理の奥ゆかしさを体感していただきたいですね」
殻剥きも調理もあっという間に!
「レンジで簡単! 蒸しサムライオイスター」
「サムライオイスターのすごいところは、加熱しても身が縮まずプリッとした弾力が楽しめること。海水の塩味が効いているので下味を付ける必要もなく、とにかく余計な調味・調味をせずにシンプルに仕上げるのが一番です!」と、藤田先生。今回は「サムライオイスターのレンジ蒸し 5種の薬味添え」を教えてもらいます。力強い旨みを持つサムライオイスターに合わせて、柑橘やハーブ、辛味を多用したさっぱり味の薬味をそろえました。
材料
サムライオイスター(冷凍・殻付き) |
酒 少々 |
お好み薬味5種
すだちやレモン |
黄ゆずの皮 |
パクチー、米酢 |
大根、一味唐辛子、芽ねぎ(または小ねぎ) |
白ねぎ、太白胡麻油、柚子胡椒 |
作り方
1. 薬味を準備する
5種類の薬味を作ります。
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すだちやレモン
水で洗い、半分に切ります。 -
黃ゆず
ゆずの皮は千切りにします。皮を剥いた時に、白いわたの部分が残っていれば包丁で削ぎ落としてから切ります。 -
パクチー酢
パクチーを細かく刻み、米酢と和えます。 -
一味おろし
大根をすりおろして軽く水気を絞り、一味唐辛子、刻んだ芽ネギを載せます。 -
ねぎごまダレ
みじん切りにした白ネギ、太白胡麻油、柚子胡椒を和えます。
「もちろん、毎回必ずすべて作る必要はありません。お好みのものだけでもかまいませんし、サムライオイスターそのものが臭みのない濃厚な味わいなので、レモンやライムなどを搾るだけでも十分美味しく召し上がっていただけると思います」
2. サムライオイスターを流水に当てる
冷凍庫からサムライオイスターを取り出し、1分間ほど流水にさらします。解凍する必要はありません。表面の汚れを洗い流すようなイメージで行ってください。少し流水に当てることで、牡蠣の味わいがよりクリアに感じられます。
3. 殻付きのままレンジで加熱する
耐熱皿に冷凍・殻付きのままのサムライオイスターを並べ、酒を少々ふり、ふんわりとラップをして電子レンジで加熱します。3個・700W・4分間を目安に、並べる個数やご家庭の電子レンジのワット数に合わせて、加熱時間を調整してください。サムライオイスターの口が開き、上側の殻が少し立ち上がったらOKです。火が入りすぎると固くなってしまうので様子を見ながら加熱してください。
電子レンジの癖や牡蠣の個体差もあるので、口が開いたものから取り出すとよいでしょう。非常に熱いので、取り出す時は十分に注意してください。
4. 殻を開けて盛り付け、完成!
乾拭きんなどを使って下側の殻を抑え、上側の殻をパカッと持ち上げて切り離します。皿に盛り、耐熱皿にあふれ出た牡蠣のスープを少量かけ薬味を添えて完成です。
噛んだ瞬間に肉厚の身からジューシーな牡蠣のエキスがあふれ出し、口の中いっぱいに牡蠣の旨みとほのかな磯の香りが広がります。薬味の酸味が加わることでサムライオイスターの甘みがより引き立ち、グッと奥深い味わいに。一個でしっかりと食べごたえがあるので、メイン料理としてもおすすめです。また、加熱した際に耐熱皿に出たスープには牡蠣のエキスが凝縮しています。ぜひ雑炊や炊き込みご飯などに活用してください。
「牡蠣の殻剥きに苦労していたという方も多いのでは? この方法なら驚くほど簡単に殻が剥けますし、何より事前に解凍する必要なく思い立ったらすぐに、一人前から好きな量だけ作れます。わたしもサムライオイスターは冷凍庫に常備しておきたいくらいです(笑)。良質な素材は、シンプルな調理が一番。ぜひお試しください」(藤田先生)
写真・広瀬美佳 / 文・山本愛理
PROFILE
Takako Fujita
日本料理家
南麻布にて「日本料理教室藤田」を主宰。茶懐石料理を通して、日本人の繊細で情緒のある食文化に感銘を受ける。季節の食材や郷土料理、折々の行事を活かした日本の味を教室で指導するほか、テレビ、雑誌、講習会などで提案している(NHKきょうの料理/家庭画報/食品会社等の講習会など)。
日本料理教室 藤田(※2022年早春に新規オープン予定)
HP :http://fu-ji-ta.com/