篠原 武将
篠原 武将
Takemasa Shinohara
「銀座しのはら」店主
挑戦の場を求めて銀座へ
「職人になりたい」という想いから、高校卒業後、料理の世界に飛び込んだ篠原武将シェフ。関西のいくつかの日本料理店で修業した後、京都・祇園の名店「山玄茶」の増田伸彦大将のもと、繊細な日本料理の基本を学びます。
「山玄茶」から独立し、地元の滋賀県でオープンした「日本料理しのはら」は、食事をするためだけに遠方から訪れる価値のある店と評判に。そんな篠原シェフが東京・銀座への進出を決めた理由は、料理人としてのステップアップ。そこには、現状に満足せず、常にさらなる高みを目指す志がありました。
「滋賀県で店をやっていた頃は、お客様は旅行もかねて来てくださっていました。そうなると、『いい思い出と共に帰りたい』というお気持ちが強くて、料理に対する評価が甘くなってしまう……でも、それでは自分は決して成長できない。誰も自分のことを知らない街で勝負をした方が、自分自身を磨けるのではないかと考えるようになりました」。
そんな時に、東京のお客様から現在の店の物件を紹介され、銀座に引っ越しをすることに。2016年のことでした。2018年にはミシュラン1つ星を、そして、2020年には2つ星を獲得。篠原シェフの挑戦は、着実に結果を出しつつあります。
CHEF'S VOICE:
美味しい養殖魚、“クラフトフィッシュ”への期待
今、当店で使っている魚の多くは天然物ですが、私は養殖の魚を否定しません。様々な生産者さんの魚を試食して、美味しいと思うものはどんどん使っています。
お客様の中には、天然をありがたがる人がまだ多いですが、「本もろこの天然は痩せていて骨が硬いですが、養殖は身もふっくらとしていて味がいいですよ」など、きちんと説明してお出しすると、納得して食べてくださいます。
“天然”の下に“養殖”があるというよりも、食材としては天然も養殖も同列で、場合によっては養殖の方がいい時もあります。鯛でいえば、今は養殖を使っていませんが、それはまだ天然物の方が品質がいいからであって、養殖の方が美味しくなったら迷わず養殖を使いたいと考えています。このクラフトフィッシュの取り組みで、より上質な養殖の魚が増えるのは、大歓迎です!
期待しているクラフトフィッシュは、鰻やスッポン、そして、私は滋賀県出身なので川魚です。琵琶マスにも興味がありますね。滋賀県の日本酒と合わせて楽しめる美味しい琵琶マスの料理を、お出ししてみたいですね。
PROFILE
Takemasa Shinohara
「銀座しのはら」
1980年、滋賀県生まれ。高校卒業後、「熊魚菴たん熊北店」で修業を始める。京都の懐石料理「山玄茶」で出会った増田伸彦大将のもとで、さらに腕に磨きをかける。26歳で独立し、故郷の滋賀県で開いた「日本料理しのはら 」は、全国から食通が通う店へと成長する。2016年に東京へ進出。「銀座しのはら」を開店し、瞬く間に東京屈指の日本料理店となる。将来は海外進出も視野に入れ、日々精進している。