鈴木 健太郎

Kentaro Suzuki
鈴木 健太郎
「アルジェント」料理長

銀座の大人を魅了する枠にとらわれないフレンチを

洗練と美を極める料理とゆとりある落ち着いた空間で、銀座に集う大人たちを魅了し続ける「アルジェント」。名店のシェフに2019年に就任した鈴木健太郎さんは、フランス料理という枠にとらわれず、新しい食材や調味料を積極的に取り入れ、プレゼンテーションにもこだわりを持って、さまざまな“食”の可能性を独自の路線で追求しています。

料理を考える時は産地に足を運ぶのはもちろん、「まず旬の食材を決めたら、その食材の画像検索を行って、どんなところでどんな風に育っているんだろう、肉だったらその動物がどんな顔をしてるんだろう、ということをリサーチします」と鈴木シェフ。

さらに周りの自然環境を知り、そのインスピレーションで料理を創り上げるそうです。昔ながらの日本の情景が失われつつある現在、意識的に守っていき、フードロスや乱獲、サスティナブルなど、自分にできることは積極的に取り組みたいと語ります。

アルジェント

CHEF'S VOICE:
技術の進歩で天然と養殖がいよいよ共存へ

肉も野菜も生産者さんがこだわりを持ってつくっています。そしてその商品が選ばれ、価値を見出され、ブランドになっていきます。

もちろんジビエや天然の茸、山菜など、人が作ったものではない、いわゆる天然のものも高く評価されています。その中で、今まで魚だけが天然と養殖に格差があったと思いますが、技術の進歩により、遂に共存に向かっていると感じています。

最近は自分も養殖の魚を使います。土にこだわった完全無農薬の美味しい野菜や餌と飼育環境にこだわった美味しい肉と一緒で、産地に行くと、生産者さんにはこだわりにこだわったストーリーがあります。

そんな生産者さんの想いをお客様に届けたい、そのこだわった美味しいお魚をレストランで美味しい料理にして食べていただきたい。養殖だって全然気負うことはありません。むしろ誇りをもってお客様にご提供します。

料理業界では何年も前から火入れの技術が進歩し続けています。料理人って火入れの話が大好きなんです。顔を合わせれば、何度で、何分で、とか骨伝導熱で、放射熱が、炭だと、気圧を下げると、など話題はつきません。近い将来、あの魚の脂質量を何%にしたらすごい美味しかったよ、みたいな会話が生まれてくるかもしれませんね。

Kentaro Suzuki

PROFILE

Kentaro Suzuki

鈴木 健太郎

Kentaro Suzuki
「アルジェント」料理長

調理師専門学校卒業後、都内近郊のフランス料理店を経て、2009年に(株)ひらまつに入社。「サンス・エ・サヴール」(東京・丸の内)など都内フランス料理店で研鑽を積んだ後、2014年に同店のスーシェフに就任。その後、2016年9月より銀座「アイコニック」のシェフを務め、2019年6月より同じく銀座の「アルジェント」シェフに就任。“情景の見える料理”を常に意識し、日本の美しい景色を、料理を通して皆さんに伝えたいという想いがある。