黒﨑 一希

Kazuki Kurosaki

黒﨑 一希
Kazuki Kurosaki
「くろ﨑」店主

創意工夫が凝らされた、独自の世界感

「高校を卒業した時、漠然と東京でひとり暮らしがしたい、でもやりたいことがない……いわゆるそんな若者でした。色々と考えた結果、やりたいことを探しながら、ひとまず手に職をつけていればどうにかなるだろうと」

そんな発想で、鮨の世界に飛び込んだという「くろ﨑」店主の黒﨑一希さん。当初は自分の店を出すなんて、夢にも思わなかったと語ります。しかしその間、同期や先輩に負けたくない一心でがむしゃらに仕事をし、独立を考えるように。その結果、34歳で独立。「くろ﨑」をオープンさせ、今では予約の取れない超人気店として、食通の間で広く知られるようになりました。

「常にお客さんの目線で考え、工夫することが大事」と黒﨑さん。「たとえば、お客さんが10人いらしたとして、10人に同じ鮨を握っていたら全員を満足させることはできません。細かい配慮、見計らいができなければカウンターでやる意味がない」。“お客様のニーズを察し、工夫する”。それが黒﨑さんのスタイルです。

Kazuki Kurosaki

CHEF'S VOICE:
天然も養殖も、そのルーツを知ることが肝心

お店では、基本的には天然物の魚を使います。その中で、その魚が何を食べてきたのかを常に考えています。たとえば、すべての魚は、時期、獲れた場所によって食べているものが違います。そうすると明らかに魚の味は変わってくる。

もちろん海水温などの変化も身質に影響すると思いますが、それよりも魚の味は何を食べてきたのかで決まるといっても過言ではありません。しかしそれは天然物だけの話ではなく、養殖についてもしかり。誠実な生産者さんの魚は、ときに天然物を上回ることもあります。

最近では、餌や生育環境にとことんこだわるクリエイティブで気概のある生産者さんも増えていると聞き、応援したい気持ちでいます。

今はまだ多くのお客様が天然物を好む傾向が強いですが、きちんと育ってきたルーツが見え、お客様に自信を持って説明できるような養殖の魚、つまりクラフトフィッシュに出合えたら使ってみたいですし、そのストーリーをお客様に伝えていきたいと考えています。

PROFILE

Kazuki Kurosaki
黒﨑 一希
Kazuki Kurosaki
「くろ﨑」店主

1980年、埼玉県生まれ。18歳で上京し、東京・浅草「金太楼鮨」で鮨職人としての修業をスタート。同店で10年間の修業の後に、世田谷「すし屋魚真」へ。鮨以外にも、様々な料理の仕込みを経験する。2015年に自らの店「くろ﨑」を渋谷にオープン。鮨種とシャリのハーモニーにとことんこだわった鮨とオリジナルの酒肴、それにあう日本酒で客をもてなす。