山口 浩
Hiroshi Yamaguchi
神戸北野ホテル 総支配人・総料理長
クラフトフィッシュを通じてみんなの幸せを
山口浩シェフが総支配人・総料理長を務める「神戸北野ホテル」は、世界60か国580施設からなる世界的権威を誇るホテルとレストランの会員組織「ルレ・エ・シャトー」のメンバーです。
その「ルレ・エ・シャトー」の副会長のフランス人シェフ、オリヴィエ・ローランジェ氏は、フランス料理界で最も社会的な貢献活動を行っているシェフと言われています。山口シェフは、現在、オリヴィエ氏と共同で海洋資源保護についての論文を執筆中。
「ただ声を上げるだけでなく、声を上げたことでどんな成果が出たのかが重要」と言うように、海洋資源保護の問題に、一般人や料理人はもちろん、大手企業までをも巻き込んで、意識改革を促そうとしています。「より多くの人にこの問題を知って理解してもらえれば、一気に事態は動き出すと思います」とも。
魚に対する知識も消費量も多い日本で、クラフトフィッシュをしっかりと育てていくことが、最初の一歩。その結果、生産者、消費者みんなが幸せになるように、この活動を持続させていくことが大切と語ります。
CHEF'S VOICE:
料理人の社会貢献の場としてクラフトフィッシュを
私は、社会的貢献のできる料理人になること、そして、そういう料理人を育てていくことを、これからのライフワークに掲げています。特定の営利目的で公でない評価基準による評価で料理人が右往左往させられるべきではありません。
これからは、“ソーシャルグランシェフ(社会的に貢献できる料理人)”が社会的に認められ、それが文化になるような世の中になるべきです。一度食べて美味しいまずいとか、作業の上手下手とかで評価されるとか、料理人とはそんな寂しい仕事ではありません。 ヨーロッパではシェフの社会貢献が認められていますから、オリヴィエのような料理人たちが声を上げるとみんなが納得する文化があります。クラフトフィッシュ活動への参加が、日本の料理人の社会的地位向上につながるといいなと考えています。
PROFILE
山口 浩
Hiroshi Yamaguchi
神戸北野ホテル 総支配人・総料理長
大阪のホテルで修業後、渡仏。フランス料理界の重鎮であり、21世紀のフランス料理の扉を開けたと絶賛される「ラ・コート・ドール(現「ルレ・ベルナール・ロワゾー」)」のベルナール・ロワゾー氏に師事。2000年よりホテルの運営会社を設立し、「神戸北野ホテル」総支配人・総料理長として運営全般に携わる。世界一と謳われるロワゾー氏の朝食メニューを提供することを許され、注目を集める。