沖 太一

沖 太一
Taichi Oki
「リストランテASO」料理長

産地の風土や生産者の想いを料理に昇華して、驚きと楽しさを届けたい

出身地の静岡県はもちろん、全国各地の生産者のもとへと足を運び、食材が育てられる風景や空気、生産者の想いから受けたインスピレーションを料理として昇華させていると語る「リストランテASO」の沖太一シェフ。

サイフォンを使ってお客様の目の前で仕上げる同店のスペシャリテ「ポルチーニ茸のスープ」に代表されるように、初代料理長・阿曽達治氏から受け継がれる「五感で楽しむ食体験」を常に心がけ、自分が「楽しい!」と感じたことを、最高に美味しい料理に変えてお客様にお届けしたいと決意を表します。イタリア料理の枠にとらわれることなく、フレンチや和の要素も盛り込んだ沖シェフの料理は、まさに驚きと楽しさの連続。

「いかに美味しく楽しい時間をお客様にお届けできるか」。それが「リストランテASO」の誇りであり、沖シェフの原点です。

沖 太一シェフのお料理

CHEF’S VOICE:
CRAFT FISHの活動を通じて地域に貢献したい

CRAFT FISHの活動に参加するにあたって初めて出合ったのが、愛媛県の養殖真鯛でした。なるべく脂を抑えるという、今までの養殖魚とは真逆の発想で開発された真鯛です。養殖特有の臭みがまったくないクリアな身の味わいはもちろん、骨やアラなどから極上の出汁が取れることに何よりも感銘を受けました。

一般的に、魚は骨に近ければ近いほど旨みが強いもの。しかし逆にいえば、その魚が持つ本来の味がすべて現れます。そのため、脂臭さがあったこれまでの養殖魚で骨やアラまで使うことはなかったんです。そんな概念がこの愛媛県の養殖真鯛に出合って一変。生産者の努力と養殖技術の進化を目の当たりにしました。

きっとまだまだ僕ら料理人が知らない優れた食材が日本各地にはあるのだと思うとワクワクします。いろいろな食材を知り、生産地へ赴き、生産者の想いを聞いて、料理で表現していきたいですね。

また、そうしたさまざまな人の努力があるからこそ料理人として高みを目指せていること、生産者と一緒になってお客様に笑顔を届けられていることを、未来を担う若いシェフたちにも伝えていかなければと思っています。

25年以上にわたって多くのお客様に愛され、日本のイタリア料理を牽引してきた「リストランテASO」の料理長としての、これからの僕の使命のひとつです。

PROFILE

沖 太一
Taichi Oki
「リストランテASO」料理長

1982年生まれ。静岡県出身。代官山「リストランテASO」や銀座「アルジェントASO」で修業を積む。2012年、ひらまつ初の大阪出店となるフランス料理店「ラ・フェット ひらまつ」の立ち上げメンバーとして大阪へ。2014年に「リストランテ ル・ミディ ひらまつ」へ異動し、2015年に料理長に就任。2022年、料理長として古巣「リストランテASO」に戻り、腕を振るう。